人気者で行こう(アマゾンに飛びます)
1984年発売、サザンオールスターズの7thアルバム。
サザン史的に見ると、5th『NUDE MAN』と7th『KAMAKURA』という二つの大作の間の時期に当たり、地味な存在と言えなくもないが、過渡期にありながら比較的安定して名曲が生み出されており、ファンからの人気は案外高い。
「過渡期」という言葉を使ったが、この時期のサザンは、シンセサイザー等の電子楽器を如何にサザン・サウンドの中に導入するかという課題に腐心していた。その大きな集大成が『KAMAKURA』ということになるのだが、その最初の萌芽は6th『綺麗』に現れていた。すなわち『綺麗』には実験作的意味合いが強く、売り上げ的にも多少揮わないところがあったのだが、そこへきてこの『人気者で行こう』、タイトルが示すように(?)恐らく桑田氏のなかには「今度はちょっと売れるやつを作ろうや」という意識があったのだと思う。こういったバランス感覚は、彼がポップスターとしてあり続ける必須要件となっていると思われるのだが、それはともかく、前作の電子音路線で得たものをさりげなく生かしつつ、全体的には聞きやすいものとなっているのが今作最大の特長だと思う。
ここで注意しておきたいのは、「売れるもの:売れないもの=ポップなもの:音楽的にマニアックなもの」という図式は、この時期のサザンには当てはまらないと言うことである。売れないもの=実験的な作品は、桑田氏自身にとっても手ごたえが無いのだと思われる。郵政民営化選挙よろしく、ファンに「こんなん出来ましたがどうでしょう?」と問うているようだ。それに対して『人気者で行こう』の桑田氏は、自分の血肉となっているものの中から、全く毛色の違う雑多な音楽を確信犯的にぶつけてくる。したがって音楽的には非常にマニアックである。むしろ多くのサザン・ファンというのは、色々なタイプの曲をやりたい放題にやるサザンを望んでいるのではないだろうかとも思われる。
ジャケットは、笠をかぶった男の背中にへのへのもへじ。『人気者』とは、ただ大衆に媚びるのでなく、わが道を突き進むことで大衆を従わせてしまうものなのだ、という哲学が現れているような、いないような…。
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